第56章

点けっぱなしの照明が眩しすぎたのか、眠っていた人影がゆっくりと意識を浮かび上がらせた。眠たげな瞳を持ち上げた、その瞬間。

扉の脇に立つ男と、視線が真正面からぶつかった。

小林凌輝の目は冷え切っている。白井桃奈を射抜き、言葉を一つずつ噛み潰すように吐いた。

「……なんで、ここにいる」

抑え込まれた怒りの下に、危うい刃が潜む。白井桃奈はその声に肩をすくめ、反射的に身を縮めた。

唇を噛み、ベッドに手をついて立ち上がる。長く跪いていたのか、足は痺れて言うことをきかない。よろよろと一歩動くたび、薄いシルクのネグリジェがふわりと揺れた。

長い髪は乱れたまま肩に落ち、頬には乾ききらない涙の跡。...

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