第61章

その返事を聞くと、電話の向こうの男はしばし沈黙した。やがて彼は彼女の被害状況を確認し、事務的にいくつか慰めの言葉を並べてから、通話を切った。

スマホを置いた雪奈は考え込む。胸の奥に居座る不安は、むしろ濃くなっていく。

――怪しい男?

まさか、今回の火事は事故じゃない。人の手で起こされていて、狙いは――自分。

そんなぞっとする想像が頭をよぎり、雪奈の顔から血の気が引いた。

立ち上がって照明を点け、金庫からノートパソコンを取り出す。メールにログインすると、受信箱のいちばん上に、未読の匿名メールが一通、ひっそりと沈んでいた。

送信は三十分前。

開く。本文は空白。添付されていたのは数枚...

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