第64章

雪奈はふと窓の外へ目をやるたび、見知らぬ車が階下に長時間停まっているのに気づいた。

どこにいても見張られているような感覚。ようやく落ち着きかけていた心が、じわじわと苛立ちに染まっていく。

その日の午後、インターホンが鳴った。

使用人が応対し、しばらくして分厚い書類袋を抱えて戻ってくる。リビングで経済ニュースを見ていた小林凌輝へ、恭しく差し出した。

「旦那様」

小林凌輝は受け取り、封を切る。

ちょうどアトリエから出て水を汲みに来た雪奈の視線が、ふとそれに引っかかった。書類袋の口には、警察の封印シールが貼られていた。

火事の調査報告書……?

小林凌輝はページを素早く追っていく。す...

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