第77章

電話がつながると、男はしばし沈黙した。喉の奥で言葉を選び、やがて低く、ゆっくりと告げる。

「当時、俺が助けられた一件の詳細を全部洗い直せ。白井桃奈が現れる前後――関係者の証言も物証も、端っこの端っこまでだ。どんな些細な糸でも拾え」

今度こそ、曖昧なままにはしない。

……。

一方、初雪アトリエ。

雪奈はパソコンの画面をじっと見つめたまま、長い時間を過ごしていた。やがて、腹を括ったように視線を細める。

ジョンが公に擁護してくれたことで、世論の圧は幾分か和らいだ。だが「盗作」という烙印は、悪意ある者の手でなおも事実のように煽られ続けている。

――もう、黙っていられない。

協会の調査...

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