第80章

「答えられないのか?」

小林凌輝は、彼女が言葉を失い、額に汗をにじませているのを見下ろした。かつての情に引きずられて残っていた最後の迷いが、そこでぷつりと切れる。胸に残ったのは、徹底的に弄ばれた苛立ちだけだった。

――俺は、こんな嘘だらけの女のために、どれだけの時間を無駄にしてきたんだ。

「白井桃奈」

ゆっくりと告げる声は、氷みたいに冷たい。

「今日限りで、小林グループから消えろ。俺の視界からもだ。小林家から得たものは、弁護士を通して一つ残らず精算させる」

そして、容赦なく続ける。

「雪奈を陥れ、グループの信用を傷つけた件――それに、なりすましの詐欺行為。法が、お前に答えを出す...

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