第91章

警察署の中は、照明がやけに白く冷たかった。

事情聴取の手続きは面倒だったが、幸いジョンが多少のツテを回してくれた。

それに、襲撃者が密輸組織の人間だと身元まで割れている。警察としても国際的な密輸ルートの手がかりを引き出したいのだろう、必要以上に突っ込んだりはしてこなかった。

小林凌輝の聴取を担当したのは中年の男性警官だった。最後に手帳を閉じると、声を落としてフランス語で言う。

「小林さん。襲撃者が密輸組織絡みなのは間違いありません。金で動く連中で、仕事は手早い。そのぶん口も堅い」

「雇い主の特定は追っていますが、国境をまたぐ依頼は追跡が厄介です。しばらくは警戒を。とくに白井さんは」...

ログインして続きを読む