第93章

そう思い至った吉田辰哉はノートパソコンを抱えたまま立ち上がり、外へ出た。ところがドアを出た途端、ちょうどアトリエの入口から入ってきた男と鉢合わせる。

「山本社長?」

吉田辰哉ははっと何かを思い出し、すぐに言った。

「snow姉さんに会いに来たんですよね? ちょうど俺も行くところなんで、一緒に行きましょう」

それを聞いた山本祐翔は口元をわずかに緩め、黙ってうなずいた。

二人で廊下を進み、雪奈のオフィスの前で足を止める。吉田辰哉が手を上げ、コンコンと扉を叩いた。

「snow姉さん、山本社長が来ました」

声が落ちたあと、返ってきたのは沈黙だけだった。

……返事がない。

吉田辰哉は...

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