第114章

男は手に赤ワインのグラスを傾けていた。グレーのスーツがその類まれな美貌を一層引き立てている。彫りの深い端正な顔立ちには、どこか言葉にできない妖艶さすら漂っていた。

彼が姿を現した瞬間、パーティー会場の視線は一気に釘付けになった。多くの令嬢たちが歓談の手を止め、驚きと熱を帯びた眼差しを向けている。

「嘘でしょ、あれって勝昭様じゃない? 弓田家の御曹司で、次期当主の……。信じられない、こんなパーティーにいらっしゃるなんて。こういう場は嫌いだって噂じゃなかった? どうして今日は?」

「さあ……。新羽菜様と弓田家はそれなりに親交があるって聞くけど、今まで新羽菜様主催のパーティーに顔を出したこと...

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