第15章

車に乗り込むと、夢子は耳を澄ませて後部座席の会話を盗み聞きしようとした。だが、武治は無情にもパーティションを上げてしまった。

助手席の夢子は、腹立たしさを噛み殺すしかなかった。

琳は私生児だ。血筋の汚れた彼女は、橘の本家筋とは到底呼べない。だから橘家の車に乗る資格すらないし、乗るにしても助手席が関の山のはずだ。

それなのに、あの下賤な女が、今はお父様と並んで座っている。その事実がどうしても許せなかった。

ふと何かを思いついた夢子は、すぐさまスマホを取り出し、メッセージを打ち込んだ。

送信ボタンを押すと、その口元に陰湿な笑みが浮かぶ。

パーティションの向こう側で、武治は態度を豹変さ...

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