第66章

琳は片方の眉を上げ、拓海越しに傍らの悠へ視線を流して言った。

「へえ? そうかしら」

悠の冷ややかな顔立ちのなかで、薄い唇がわずかに吊り上がる。

ここ最近、九条家はあらゆる手を尽くして帝都大学の監視カメラ映像を取り寄せた。数日間にわたる徹夜の解析の末、あの日傷跡を消すクリームをくれた人物を美春に特定させたのだが――それがなんと、琳だったのだ。

この結果には、九条家も大いに驚愕した。

一介の女子高生が、誰も知らない秘伝の傷跡ケアクリームのレシピを握っている。そればかりか、国際数学オリンピックで優勝して一躍名を馳せ、今やA市全体で話題の的となっている時の人なのだ。

目の前にいるこの女...

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