第8章

地面に倒れ伏す九条悠が引き金に指をかけた瞬間、弾丸が放たれるよりも早く琳が動いた。目にも留まらぬ速さで手を伸ばし、男の握る黒い拳銃をあっさりと奪い取る。

少女は奪った拳銃を、まるで玩具でも扱うかのように軽々と弄んだ。

悠の額にじっとりと冷や汗が浮かぶ。空になった己の手のひらを見つめ、信じられないといった様子で目の前の少女を凝視した。

自分は長年、港の裏社会を渡り歩いてきた人間だ。これまで一度たりとも、手にした銃をこんな風に奪われたことなどない。それなのに、この年端もゆかない少女は、いとも容易く銃を奪い取ってみせたというのか。

「お前は、何者だ」

琳はつまらなそうに唇を曲げただけで、...

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