第80章

梨乃は琳とそこまで親密な間柄というわけではなかったが、彼女の動向についてはよく把握していた。

六月十日、琳は薬局などには一切立ち寄っていない。あの日の夕方、彼女は車で出かけ、夜中を過ぎてようやく帰宅したのだ。

そのせいで梨乃はずっと心配し、何度もメッセージを送ったのに返信はなかった。それなのに、どうして最終的に薬局へ行ったことになっているのだろうか。

琳は梨乃が差し入れた焼き菓子を口に運びながら、一切の抑揚のない声で言った。

「六月十日の夜、由利が後々面倒を起こすだろうって予感があったの。だから、あらかじめ手を打っておいたってわけ」

梨乃は要領を得ない様子で、首を傾げた。

「じゃ...

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