第89章

「ルームサービスでございます」

琳がドアを軽くノックすると、それまで室内で話し合っていた傭兵たちの声がピタリと止んだ。やがて重い足音がこちらへ近づいてきて、ドアが開かれる。

久方ぶりに見る見慣れた顔が目の前に現れた。琳は微笑みを浮かべ、流暢で柔らかな英語で語りかける。

「こんにちは。当ホテルのルームサービスでございます。アフタヌーンティーの時間となりましたので、ナッツと軽食をお持ちいたしました。どうぞお召し上がりください」

先頭に立ったのは一号。組織では、トップクラスのスパイにのみコードネームが与えられ、その他の者はすべて番号で呼ばれる。目の前にいるこの男こそ、ナンバー『1』の殺し屋...

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