第101章 気まずくなった

山川康一も潔い。左右をさっと見回したかと思うと、迷いなく踵を返し、トイレへ駆けていった。

「ちょっ、待って! そこは――」

工藤花恋の心臓が一気に喉元まで跳ね上がる。絶望的に手を伸ばして止めようとしたが、もう遅い。

山川康一はすでにトイレのドアノブをひねっていた。

扉が開いた、その瞬間。

山川康一の動きが、ぴたりと止まる。

トイレの中では、宮崎健が大理石の洗面台にもたれ、淡々とした目で侵入者を迎えていた。

視線がぶつかり合い、気まずさだけがじわりと膨らんでいく。

山川康一の頭は真っ白だった。――なんで宮崎健が、工藤花恋のトイレに潜んでるんだよ。

宮崎健は目尻をわずかに引きつ...

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