第114章 盗作

南川杏菜は赤ワインのグラスを手に、月でも拝むみたいに持ち上げられている岡田明菜へ、嘲るような視線を投げた。

それから首だけを傾け、工藤花恋に向かって悪戯っぽくウインクする。

声をぐっと落とし、ぞくりと背筋を撫でるような高揚を滲ませた。

「焦って怒んないで。花恋、目ぇ逸らさないで見てな。……さあ、開幕だよ」

花恋がその言葉の意味を噛み砕くより早く、舞台上の空気が一変した。

「1億、1回目! 1億、2回目! 1億――」

司会者が木槌を高々と掲げた、その瞬間。

パァンッ!

乾いた破裂音が会場を裂いた。

次の刹那、パーティー会場の天井に鎮座する、何千万もすると噂の巨大なクリスタルシ...

ログインして続きを読む