第129章 退院

林谷の手がドアノブに触れた、その瞬間だった。

「……林谷」

三浦央士が、低い声で呼び止める。

眉間には深い皺。奥行きのある瞳に、一瞬だけ迷いが走った。

――調べる? 彼女を? 何の権利があって。

「……いや、いい」

結局、三浦央士は小さく息を吐き、淡々と言葉を落とした。

自由を与えると決めたのなら、最後まで尊重する。

そして彼女が、自分に探られるのを好まないことくらい――分かっている。

林谷は一瞬きょとんとしたが、社長の全身から滲む「近寄るな」という冷気に飲まれ、余計なことは聞けなかった。小さく頭を下げ、そのまま静かに退室する。

――三日後。

病室。

「私、認めない!...

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