第146章 妻よ行かないで

岡田明菜は雷に打たれたみたいに硬直し、その場から一歩も動けなくなった。完璧に仕上げたメイクが、今にもひび割れそうだ。

「ぷっ――」

扉の外から、こらえきれなかったような小さな吹き出し声が漏れる。通りかかった若い看護師が、思わず笑ってしまったのだろう。

岡田明菜の顔色は、白から青へ、青から紫へとめまぐるしく変わった。まるで絵の具をぶちまけたみたいに、見事なまでに。

病室の空気が完全に爆発しそうになった、そのとき。

主治医が数名の看護師を連れて、険しい表情のまま入ってきた。

「どうしました? ここは集中治療室です。患者さんはようやく目を覚ましたばかりで、安静が必要です。何を騒いでいる...

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