第148章 彼の面倒を一生見る

今の彼女は、もう誰にでも握り潰されるような「都合のいい女」じゃない。

「あなた――っ!」

三浦母の顔色が青と白のあいだを行き来し、工藤花恋を睨みつける。

ベランダで、冷えた視線がぶつかり合う。

その、今にも火花が散りそうな瞬間だった。

病室のほうから、がたがたと慌ただしい物音がして――次の瞬間、ふらつく影がベランダの扉口に現れた。

三浦央士が、裸足のままよろよろと飛び出してくる。

黒い瞳いっぱいに、怯えと不安を浮かべて。

「花恋……」

彼は手を伸ばし、恐る恐る彼女の服の裾をつまんだ。

「花恋、帰ろう? 家に……帰ろうよ」

見上げてくる瞳は、底が透けるほど澄んでいて。

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