第150章 再び新居へ戻る

工藤花恋は俯いたまま、腕の中でしょんぼりしている男を見下ろした。掌が、氷みたいに冷たい。

見間違いじゃない。

さっきの一瞬――三浦央士が医師に向けた視線には、彼女がよく知る冷たさが宿っていた。

それはほとんど反射に近い、縄張りを踏み荒らされた獣の怒り。

記憶を失っていようが、骨の奥に染みついた傲慢さも冷酷さも、変わっていない。

「三浦央士」

工藤花恋の声が、すっと温度を失う。

「花恋……」

腕の中の男が顔を上げる。無垢を貼りつけたような表情。

工藤花恋は彼を見つめ、胸の内でせめぎ合った。

襟首を掴んで問い詰めたい。――本当は騙してるんじゃないの? 私が心を痛めて、譲歩して...

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