第170章 危篤状態になり、弟が帰国する

南川杏菜は足元から力が抜け、そのまま床にへたり込んだ。

――赤ちゃんが、いなくなった。

そして花恋も、もう……。

「やだ……そんなの、嘘……! 花恋が死ぬわけない……!」

杏菜は崩れ落ちるように泣き叫び、震える手で書類にペン先を近づけても、どうしても署名できなかった。

彼らにも、署名はできない。

「俺たち、友だちだろ……それでもサインできないのか?」

宮崎健が声を震わせて訊く。

北村瑛太は眉を寄せ、首を振った。

「無理だ。署名は家族じゃないと通らない」

絶望とやるせなさに押し潰されそうな中で、杏菜の頭に浮かんだのは、三浦央士だった。

名目上とはいえ――彼は花恋の夫だ。

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