第173章 許す資格

三日後。

工藤花恋は隔離病室へ移された。

まだ身体は鉛みたいに重い。それでも、何日も閉ざしていた瞼が、ようやくゆっくりと開く。

病室には、半分だけ引かれたカーテンの隙間から陽が差し、真っ白なシーツに淡い光が落ちていた。けれど、その光は彼女の青白い顔色を温めてはくれない。

花恋は目を開けたまま、しばらく焦点が合わなかった。滲む輪郭が、少しずつ形になる。

指先がかすかに動く。反射みたいに、ほとんど本能で右手が伸び――自分の下腹へ触れた。

そこには、もう何もない。

涙が、前触れもなく目尻からこぼれ落ち、枕をじわりと濡らした。

――赤ちゃんは、もういない。

花恋は声を出さず、ただ泣...

ログインして続きを読む