第179章 もう一度だけ勇気を出す

しかし、工藤花恋はただ静かに彼らを見つめているだけだった。

それから、看護師に目で合図をして、ベッドの背を起こしてもらう。

唇がかすかに動き、花恋はきっぱりと首を横に振った。

「行かない」

「花恋!」

三浦央士の瞳から、堰が切れたように恐怖が溢れ出す。

「どうしてだよ……! それが、唯一の希望なんだぞ!」

花恋はゆっくりと視線を戻し、絶望が刻まれた央士の顔を見据えた。

その目は静かだった。憎しみも、恨みもない。ただ、生と死の境目を見切った者だけが持つ、底冷えするような静けさ。

「三浦央士……『生きる』のと、『生き残る』のは、違うの」

声は羽のように軽いのに、言葉だけが重く...

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