第190章 年々歳々、すべからく意の如く

工藤花恋は振り返り、少しだけ拗ねたように三浦央士を睨んだ。

「ねえ、どうして洸平のこと、ちょっとくらい譲ってあげられないの?」

ついさっきまで、冷たくて偉そうで、いかにもツンとした三浦グループ社長だった男が――妻のひと言を聞いた瞬間、あからさまに顔を変えた。

半分ほど剥いたままのリンゴを置き、まるで甘えたがりの大型犬みたいに、しょんぼりと花恋のそばへにじり寄る。

細い腰に腕を回し、そのまま首筋に顔を埋めた。

「花恋、ひいきだろ……」

くぐもった声。拗ねた甘えが、全部そこに詰まっている。

「だって、あいつが先に煽ってきたんだ。俺は義兄としての威厳を守っただけだし。なのに花恋は、口...

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