第20章 生き延びる

「宮崎さんが、あちこち駆け回って骨髄を探してくれてる。たとえ望みが細くても……私たち、諦めないよね?」

傍らに立つ北村瑛太は白衣姿のまま、心電図モニターの数値に目を凝らしていた。険しい表情で息を吐き、花恋へ向き直る。

「花恋、もう先延ばしにはできない。各科と連携して、最新の分子標的薬と移植のバックアップ案も組んだ。君がうなずけば、すぐに動かせる。まだ二十代だろ……ここで手放すな」

涙をこらえて唇を噛む弟の横顔。医師の瞳に浮かぶ、隠しきれない心配。

工藤花恋は乾いた唇をわずかに動かした。

死んだ水みたいだった目に、ようやく、ほんのわずかな揺れが差す。

死ぬのが怖いわけじゃない。

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