第25章 命は助かった

病室は、死んだように静まり返っていた。

宮崎健から、あの穏やかさが消える。

「北村瑛太! 何を言っているんだ! お前は医者だろう! 必ず方法があるはずだ! 世界中の専門家だって、俺が全部集めてやる!」

「無駄だ、健」

北村瑛太は胸ぐらを掴まれたまま、視線だけをまっすぐ工藤花恋へ向ける。

「体の土台がもう壊れてる。神様だって助けられない。医学的な常識だ」

その言葉を聞いて、工藤花恋の心は驚くほど凪いでいた。

怖くて、取り乱して、泣き叫ぶと思っていたのに。

いまあるのは――解放感。

疲れた。ほんとうに。

この三年、自分は笑いものみたいに生きてきた。

弟の手術代を工面するため...

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