第42章 婚約者

「申し訳ございません。おかけになった電話は、ただいま通話中です。しばらくしてからおかけ直しください……」

受話器から返ってきたのは、工藤花恋の冷えた声ではなかった。感情の欠片もない、機械のアナウンス。

三浦央士は固まった。認めたくなくて、舌打ちしそうになりながらリダイヤルを押す。

「申し訳ございません。おかけになった電話は、ただいま通話中で――」

三回。四回。何度かけても同じ文句が、無慈悲に繰り返されるだけだった。

三浦央士は馬鹿じゃない。

通話中なんかじゃない。これは――ブロックだ。

説明も、謝罪も、頭を下げる余地も。

そして「三浦央士」という人間そのものを、彼女は容赦なく...

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