第44章 彼のもう一つの顔

「央士! やっと会議終わったのね。もうずっと待ってたんだから」

だが、入ってきた男は、彼女に余計な視線ひとつくれてやらなかった。

三浦央士には、無造作でありながら容易には近づかせない、禁欲的な空気があった。

その背後には、スマートシティ案件に携わる技術部の中核メンバーたちが、ずらりと続いている。

工藤花恋はその場に立ったまま、ひややかな眼差しを会議室の半ば越しにまっすぐ伸ばし、三浦央士の顔を捉えた。

考えてみれば、正式な仕事の場で、しかも協業先としてこの男と真正面から向き合うのは、この三年で初めてだった。

あの檻のような家の中では、彼の冷えきった仕打ちも、瞳の奥に沈む嫌悪も軽蔑も...

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