第56章 恥をかいた三浦社長1

彼女は勢いよく力を込め、三浦央士の手を容赦なく振りほどいた。

怒りに火を点けられた瞳が、ぞくりとするほど鋭い光を迸らせる。

「いいわ!」

工藤花恋の声は、怒りが極限まで達して小刻みに震えていた。

「三浦社長がどうしても私に金を投げつけたいって言うなら、ありがたく受け取ってあげる」

「だって今どき、口座の残高が多いのを嫌がる人なんていないでしょ?」

鼻で笑い、スマホと財布をぶんっとバッグへ放り込み直す。次いで顔だけを横へ向け、冷ややかに怒鳴りつけた。

「今すぐ、車を停めて!」

三浦央士は一瞬きょとんとし、反射的に窓の外――高架橋を見た。

「ここは高架橋だ。停められない」

「...

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