第61章 花を買って犬に出会う

あの店の店員たちは、彼女をまともに相手にしなかった。それどころか、店内でバッグを選んでいた名門令嬢たちと示し合わせ、寄ってたかって冷笑を浴びせてくる。

言葉はどれも毒々しく、容赦がない。

どこのスラム街から這い出してきたのかも分からない、権力者に縋りついて成り上がろうとする卑しい金目当ての女――そう決めつけ、嘲り、踏みつける。

工藤花恋が弁解のしようもなく立ち尽くした、そのときだった。

真紅のオートクチュールを纏った南川杏菜が、まるで天から降りた女戦神みたいに店へ入ってきた。

彼女は威張り散らすお嬢様たちに視線すらくれない。バッグから取り出したのは、限定のブラックカード。

それを...

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