第7章 どうか彼女を死なせないで

武田医師が壁を拳で叩きつけた。

「ふざけるな! こんな状況で! 人の命がかかってるんだぞ!」

工藤花恋はICUで、指の数より多い管に繋がれていた。

人工呼吸器が一定のリズムで鳴り、かすかな息を無理やりつなぎ止めている。

「主任、ショックです! 治療方針の確認が取れないと……今夜、越えられません!」

――やるしかない。

武田医師は大きく息を吸い込み、看護師から花恋のスマホを受け取った。画面は蜘蛛の巣みたいに割れている。

ロックはかかっていない。連絡先もほとんど空っぽだ。

最上段に「夫」。だが、そこは行き止まりだと分かっている。

指を滑らせる。視線が「弟」と書かれた番号で止まっ...

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