第78章 兄はどうあるべきか

工藤花恋は、ほとんど逃げ出すみたいに休憩室を後にした。

頭の中では、さっきの工藤千尋のヒステリックな罵声が、いつまでも反響している。

武田桃菜から受けてきた、あの悪意むき出しの標的扱い――。

全部、三浦央士のせいだったのだ。

花恋は深く息を吸い込み、目の奥に残った最後の湿り気を、無理やり押し戻した。

向かったのは非常階段。

今はただ、ここから出たい。早く、遠くへ。

踊り場を曲がった、その瞬間――足が、ぴたりと止まった。

薄暗い階段室。壁の上のほうに取りつけられた小さなブラケットライトが、黄ばんだ光をかろうじて落としている。

半分だけ明るく、半分は影に沈むその境目に――細く長...

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