第88章 通りすがりの盾となる

幼馴染のことは、嫌というほど分かっている。

さっきの山川康一の反応は、時差ボケなんて生ぬるい理由で片づくものじゃない。

あの、必死に取り繕う仕草。

胸の奥に、誰にも言えない何かを隠している――そうとしか見えなかった。

三浦央士はグラスを傾けたまま、無意識に指先で冷たいガラスをなぞる。

理由の分からない苛立ちが、じわじわと腹の底に溜まっていく。

そのとき、けたたましい着信音が鳴った。

スマホを取ると、画面に「三浦亜衣」の文字。

眉間の皺が、さらに深くなる。

通話を繋いだ途端、苛立ちを隠しもしない声が出た。

「……今度は何だ」

受話口から飛び込んできたのは、妹の甘ったるい声...

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