第89章 友達ではない

山川康一は、工藤花恋の血に濡れた腕を見た瞬間、顔色を変えた。大股で駆け寄り、周囲へ冷えた声を叩きつける。

「医者! 看護師! 早く来い!」

廊下の奥から、ばたばたと切迫した足音が迫ってくる。

「どうした、どいて!」

北村瑛太が人垣をかき分けた。

もともとは医療トラブルの確認――ただの巡回のはずだった。だが、負傷者が工藤花恋だと分かった瞬間。

瞳孔が、ぎゅっと縮む。

「工藤花恋?」

北村瑛太の声が裏返るほど跳ね上がった。

次の瞬間には大股で詰め寄り、彼女の無事なほうの腕をがしっと支える。目つきは鋭く、今にも誰かを殺しそうだった。

「お前、正気か! 来い!」

山川康一と山川...

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