第91章 クラスメイトをいじめているのは三浦亜衣

工藤花恋の脳裏に、さきほどの危険な一瞬がフラッシュバックした。

ナイフを握り、狂犬みたいに突っ込んできて、山川悦子の顔を切り裂こうとした男。あのとき、男はたしかに――誰かの名前を叫んでいた気がする。

その断片が繋がった瞬間、花恋ははっと息をのむ。

「……ねえ。さっき、包丁みたいなの持って悦子ちゃんの顔を狙ってきた男の人って……松本菜津の、お父さん?」

山川悦子は下唇をぎゅっと噛み、涙で滲んだ目のまま、小さく頷いた。

だからか。

いい大人が、あそこまで狂ったように女子学生に刃物を向けた理由が。

娘の復讐――それしかない。

兄妹の言い争いはまだ終わっていない。廊下の空気は張り詰め...

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