第113章 言い知れぬ不安

ほどなくして、九条玲奈が事前に買収しておいた医師が、薬箱を提げて慌ただしく駆けつけた。

「早く! 早く私の嫁を診てちょうだい!」

西園寺百合子は、藁にもすがる思いで叫んだ。

医師はすぐにその場にしゃがみ込み、もったいぶった手つきで診察を始めた。その表情が、次第に曇っていく。

やがて立ち上がった彼は、焦燥しきった西園寺百合子と西園寺京夜に向かい、重々しく溜息をついた。

「西園寺夫人、西園寺社長。予断を許さない状況です。転倒の衝撃が強すぎました。切迫流産の兆候が見られます」

「なんですって?」

西園寺百合子は目の前が真っ暗になり、その場に崩れ落ちそうになった。

「ですが、ご安心を...

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