第12章 これに勝る心寒なし

「はぁ……」

西光はわざとらしく大きな溜め息をついた。

「奥様ったら……お食事を召し上がらないんです。旦那様の言いつけ通り、あれこれ工夫して作ってはいるのですが、一口も口をつけてくださらなくて。この二日間、何も召し上がっていないせいで、すっかりお痩せになってしまって……ただベッドに横たわり、窓の外をぼんやりと眺めていらっしゃるばかりで」

彼女は言葉を区切り、西園寺京夜の顔色を慎重に窺いながら、まるで秘密を打ち明けるかのように声を潜めた。

「もしや奥様は……恋煩いでも患っていらっしゃるのではないでしょうか? 心の中でどなたかをお慕いになっていて、それで喉を通らないのでは……」

恋煩い...

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