第139章 病気による逝去

部屋は塵一つなく整えられ、ベッドのシーツには皺ひとつない。まるで昨日の光景がそのまま保存されているかのようだ。

彼女はただ少し遠出をしただけで、すぐに戻ってくる。

そんな錯覚さえ覚える。

彼はベッドサイドに歩み寄り、腰を下ろした。

マットレスが彼の重みで沈み込む。

手を伸ばし、かつて彼女が眠っていた枕を撫でる。髪の残り香と体温が、まだそこに残っているような気がした。

だが、香りはあまりに淡く、温もりもまた、彼の願望が見せた幻影に過ぎない。

幻覚が消え去った後の虚無よりも、さらに鋭利な恐怖が彼を鷲掴みにした。

彼女はこの世界から消失しつつある。存在した痕跡ごと、時間によって少し...

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