第152章 ここまで

知らなかったと言いたかった。違うと言いたかった。もし彼女がそれほど重い病だと知っていたら……と言い募りたかった。

だが、彼女の凪いだ水面のような静けさを前にしては、どんな言葉も色あせ、滑稽な響きを帯びるだけだった。

「私の病状は現在、安定しています。定期的な治療さえ受けていれば問題ありません」

葉山立夏は再びエンジンを始動させた。その口調は、完全に冷静さと他者行儀な響きを取り戻していた。

「この話は、これで終わりです」

『これで終わり』――その四文字を聞いた瞬間、西園寺京夜の中に眠る狂気が鎌首をもたげた。

受け入れられるわけがない。そんな結末、断じて認めるものか。

「言っただろ...

ログインして続きを読む