第159章 全ては過ぎ去った

その認識は、どんな事業の失敗よりも彼を打ちのめした。

無力感が骨の髄から滲み出し、全身を浸していく。

夜は深まっていく。

七尾敦はドアの外で三時間待ち続けたが、中は静まり返っていた。

深夜になり、ようやくドアが開く。

西園寺京夜が出てきた。

黒いトレンチコートに着替え、髪も整えられている。表情はない。ただ、その双眸だけが恐ろしいほど赤かった。

「社長、どちらへ?」七尾敦は警戒心を強めた。

西園寺京夜は答えず、エレベーターへと直行する。

その足取りはしっかりしていたが、七尾敦には、彼が極限まで張り詰めた弦のように見えた。

七尾敦は余計な問いを飲み込み、ボディガードに追従を命...

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