第160章 そんなに無理するな

西園寺京夜は、彼の言葉を気にも留めなかった。

ただ、自らの手を見下ろしているだけだ。

その手はもう綺麗に洗われているはずだが、昨夜のあの粘つくような感触が、皮膚に焼き付いて離れないかのようだった。

唐突に、彼は問いかけた。

「七尾、俺は汚れているか?」

七尾敦は虚を突かれたように言葉を詰まらせた。ボスの憔悴しきった顔を見て、出かかった言葉を飲み込み、事務的な口調に切り替える。

「社長、確かに入浴された方がよろしいかと。それから記者会見の影響についてですが、広報チームがすでに対応策を……」

「必要ない」

西園寺京夜は遮った。その声には、死灰のような静けさが漂っていた。

「です...

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