第161章 彼女を助ける理由

「また出張?」

橘カオリは溜息交じりに言った。

「西園寺京夜……あのイカれた男、最近は妙な真似してこないでしょうね」

「何もないわ」

葉山立夏の口調は淡々としていた。

「あの夜以来、彼は忽然と姿を消したの。ニュースにも出てこないし、恐らく帰国したんじゃないかしら」

その徹底した沈黙が、かえって彼女の胸に言葉にできない違和感を巣食わせていた。

西園寺京夜のような執着心の塊とも言える男が、たった一度、酔った勢いで感情を爆発させた程度で、きっぱりと諦めるだろうか?

葉山立夏は軽く頭を振り、考えすぎだと自分を戒めた。

これでいいのだ。互いに干渉しないことこそ、二人にとって最も体面を...

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