第166章 反面教師

「葉山社長、受付から連絡です。アポなしのお客様が二名、社長をご指名で見えております」

「どなた?」

「お一人は西園寺奥様と名乗られ、もうお一方は九条様です」

葉山立夏は、コーヒーカップを持ち上げた手を空中でぴたりと止めた。

平穏な日々など長くは続かないと、分かってはいたことだ。

だが、まさか二人揃って会社に乗り込んでくるとは予想外だった。

「通して」葉山立夏がカップを戻す音は、何事もなかったかのように静かだった。

「ですが……」

「構わないわ」葉山立夏は袖口を整えた。「商売人が客を追い返す道理はないもの。それと、保安部の鈴木マネージャーを呼んでちょうだい」

数分後、オフィス...

ログインして続きを読む