第183章 自分を定義するラベルは要らない

その言葉が落ちた瞬間、あたりは静寂に包まれた。

遠くで談笑していたエンジニアたちも、こちらの異様な空気を察して一斉に視線を向けてくる。

七尾敦は西園寺京夜の背後で、心臓が跳ね上がるのを感じた。「終わった」と心の中で呟く。

副社長を見るその目は、自ら進んで地獄への片道切符を買い求めた勇者を見るようだった。

西園寺京夜の顔色はすでに沈みきっており、雷が落ちる寸前だった。

だが、葉山立夏の方が動きは早かった。

彼女はゆっくりと手にしたグラスを置いた。底がテーブルに触れ、カチンと硬質な音を立てる。

彼女は顔を上げ、静かな瞳で相手を射抜いた。

「私の価値を証明するのに、男の存在など必要...

ログインして続きを読む