第192章 金はいらない、命が大事だ

「昨日、土地計画局から急な通知がありました。この土地は百年も前の家族間所有権争いに巻き込まれているとかで、認可プロセスが無期限凍結されたそうです」

葉山立夏の視線は、地図上の赤ペンで囲まれた一点に落ちた。

そこは電力網計画全体の心臓部だった。

「土地の所有権争い?」彼女は問う。

「ただの口実ですよ」鎌内雅樹の声には無力感が漂っていた。「担当官のサリムという男ですが、うちの人間が会おうとしても三日連続で門前払いでした。そのくせ内通者の話じゃ、先週六合財閥の連中に招待されて、プライベートクルーザーで一日中釣りをしていたそうです」

六合。入札競争で立夏ニューエナジーに敗れた老舗財閥だ。

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