第195章 訴訟で時間を稼ぐ

宮田弘通は座ろうともせず、数秒の沈黙の後、言葉を探すように口を開いた。

「葉山社長、辞職のお願いに参りました」

葉山立夏のサインする手が止まる。

彼女は顔を上げ、かつて自分の右腕と頼んだ男を見つめた。

「オリオンから、断れないオファーを頂いたのです」

宮田弘通は彼女の視線を避け、乾いた声で続けた。

「アジア太平洋地区技術開発センター副社長のポスト、それに……年俸は三倍です。子供二人のインターナショナルスクールの学費もありますし、住宅ローンも……」

葉山立夏は問い詰めることも、引き止めることもしなかった。

「今後の活躍を祈っているわ」

宮田弘通は恩赦でも受けたかのように、「あ...

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