第198章 持ち堪えろ

サンジ法師だ。

「法師様」葉山立夏の声には、自分でも気づかないほどの疲労と哀願が滲んでいた。「お会いしたいのです。無実の罪を着せられ、無念の死を遂げた魂が……安息を求めています」

……

サン・ローランの山間、俗世から隔絶された場所にその寺院はある。

葉山立夏はサンジ法師本人には会えず、一人の小坊主が伝言を預かっていた。

「法師様はこう仰せです。葉山さん、冤罪の魂が渡れぬは、道無きにあらず。未だ執着が消えぬゆえ、と」

葉山立夏は菩提樹の下に立ち、風が彼女の黒い衣の裾を揺らした。「彼の執着とは?」彼女は問うた。

小坊主は両手を合わせた。

「真実、でございます」

葉山立夏は山を下...

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