第20章 彼女は、演技ではないようだ

西園寺京夜はスマホと車のキーを掴んだ。

自分に言い聞かせる。帰るのは、ただ一つの厄介ごとを片付けるためだと。西園寺家の体面に関わる問題を処理するだけ。それ以上の意味はない、と。

ほどなくして、黒のベントレーが清風邸に滑り込んだ。

京夜が玄関に足を踏み入れると、リビングには顔面蒼白の家政婦、本江が立ち尽くしている。

「旦那様……」

彼はそれを無視し、二階へと駆け上がった。

主寝室のドアは施錠されている。京夜の怒りが沸点に達した。本江の手から鍵をひったくり、乱暴にドアを開け放つ。

部屋の中は薄暗く、重苦しい空気が淀んでいた。カーテンは隙間なく閉ざされている。

ベッドの上には、小さ...

ログインして続きを読む