第205章 少し疲れた

男の声は平坦だった。

「本日午後、研究所へお送りする予定だった送迎車ですが、出発前の定例点検にて、警備担当者がブレーキホースに鋭利な刃物による切断痕を発見しました」

タブレットの画面には、高解像度の写真が表示されている。

黒いオイルホースに、スパッと切られた断面がくっきりと映し出されていた。

「また、十五分前、スイートルームの窓の真下にある芝生エリアにて、高出力レーザー発振器を搭載した改造ドローンを外周警備班が撃ち落としました。もし照射されていれば、窓ガラスは瞬時に熱膨張を起こし、破裂していたでしょう」

二枚目の写真は、黒焦げになったドローンの残骸だった。

部屋は、死のような静寂...

ログインして続きを読む