第219章 戦場の外、家族あり

「そんな、まさか。あの方はそちらの紹介状をお持ちでしたし、バッジだって……」

彼女の声が震え始めた。

「奥様、それは詐欺師の手口ですよ。そのような紹介状など、路地裏のハンコ屋でも作れます。何か盗られたりしていませんか?」

受話器の向こうの声は、もう葉山朋美の耳には届かなかった。

彼女の世界は「詐欺師」という二文字だけに塗り潰され、脳内で繰り返し轟音を立てていた。目の前が真っ暗になる。

家系図、権利証……。

あれはただの紙切れではない。葉山家数代の根幹であり、命を懸けて守り抜くべきものだった。

立夏に残した、最後の希望であり退路だったのに。

ご先祖様に嘘をついてしまった。

立...

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