第244章 裏方に回る

その静かな眼差しに、秘書は瞬時に口をつぐみ、気まずそうに鼻の頭を掻いて退室していった。

社長室の扉が閉まると、外界の喧騒が一切遮断された。

葉山立夏の視線は、その黒い箱に注がれていた。

彼女はしばらくの間じっと座っていたが、やがて手を伸ばして箱を開けた。

箱の中には、防湿用のパラフィン紙で丁寧に包まれたハードカバーのノートが一冊入っているだけだった。

原本ではなく、極めて精巧に作られたレプリカだ。

葉山立夏の指先が、そのかすり傷の跡でピタリと止まった。

これは、彼女の母の日記だった。

母が亡くなった後、叔母さんが遺品を整理した際、この日記帳は行方知れずとなっていた。

彼女は...

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